金魚満ちて世界平和。金魚好きの金魚好きによる金魚サロンです。

金魚が家にやって来た(後編)

それからしばらくして、意を決して金魚を飼うこと店員に伝えることにした。「すいません、小赤2匹ください」。脚立に乗って作業をしている店員に恐る恐る声をかけると、ちょっとデブなその店員は愛想良く小赤を取り始めた。

さすがに水槽の中を泳ぎまくる数百はいるであろう金魚を選ぶことはできないので「生きのいいのを1つ」とお願いしたが、デブの店員は手慣れた手つきでススイと小赤をすくって、さっきの老夫婦と同じく、小赤2匹をナイロン袋に入れてよこした。

「生まれて始めて金魚を買うよう」と妙な感慨にふけりながら、私に飼われる運命になった金魚どもは、こうして58円の伝票と共に私に渡された。2006年クリスマスの夕方のことであった。



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